知識考房はよりよい構想つくりのための 基礎知識である歴史/文化/制度/技術等 のコトをモノとして視覚化する工房です

★《分かる》分かるとは何か          

あらまし: 人にきちんと話すことによって、自分が「わかった」かどうかを、分かることができる

「理解する」ことと「わかる」ということの違いを、長尾真の著書*1を参考に「図解」としてまとめてみました。「理解する」ことも重要ですが、論理的な理解は、記憶容量の増大につながってしまいます。

本書には、「『わかる』とは、これまで散在していた知識が、あるきっかけでひとつにつながる。」というように記載されています。自分の知識と照らし合わせた本質的な意味の深い理解は、記憶容量の軽減を図るだけでなく、より分かりやすい説明を生み出すものです。 

「わかった」につなげるためには、常日頃より、「何がわからないのか」ということを捉えておくことが必要です。そのような問題意識がなければ、何を聞いても「わかった」状態にはなりません。なにごとにも「好奇心」「興味」を持つというのは大事ですね。


人それぞれに持つ知識とそのレベルは異なるため、特定の知識を基盤とした説明は、特定の人にだけにしか理解されません。一方的な知識、論理の上にたった説明しかできない人は、「理解」はしていても、結局は「分かっていない」ということです。

「未知の領域をわかるためには、これを自分なりに理解した後に、他人に説明できること」。
それが「分かった」の極意であると思っています。

*1: 「わかる」とは何か:長尾真(岩波新書7132001

 

❖子ども電話相談室での「分かる」


「子ども電話相談室」というラジオ番組の中で、「電話のお姉さん」が
答えの最後でいう言葉があります。

「太郎ちゃん、わかったかナー?」です。

子どもは「ウン、わかったヨ。」と答えます。

さらにお姉さんは、ツッコミます。
「ちゃんと、お母さんに話せるかナ?」

この会話を、いつもわたしはほほえましく聞いています。

このふたつの確認作業は、一体何なんでしょう。

最初の「わかったかナ?」は、大人言葉で「理解しましたか?」、
後の「お母さんに話せるかナ?」が、このブログでテーマとしている
「分かった」、ということではないかと思っています。

 

❖ビジネスの場面での「分かる」


それでは、ビジネスの場面におきかえてみましょう。

部長: 「山田君、今のわたしの話を、わかってくれたのかナ?」

山田: 「もちろん! 部長の説明は天下一品! よーく、わかりました。」

部長: 「ほー、それはよかった。それじゃぁ、明日、お客さんへキチンと説明しておいてナ。」

山田: 「えー、それは、そのぉ。。。。 お客さんに説明するのは。。。。」

部長: 「なんだ! ぜんぜん、わかっていないじゃないか!」

・・・・・沈黙・・・・・

山田: 「いやぁー、部長の話がうますぎて、同じようにはできない、ってことですヨ。」


他人に説明する際、その人の話を、一字一句真似る必要はありませんね。
本質を理解して、自分の言葉でしゃべればいいンです。
それにしても、山田さんは、世渡り上手だ。

 

❖まとめ

 

初対面の人と話をする際、一番困るのは、
相手が、どの程度の知識を持っているか分からない、ということです。
まず手短な話題を話し、質問をしながら、その反応を見て、
お互いの特定の知識モデルを設定する必要性があります。

その意味で、本題に入る前の対話は、とても重要であるといえるでしょう。

しかし、本題に入っても、「分かる」ということと、「理解する」ということの
違いを捉えておかないと、相手の理解の程度はわからなくなってきます。

「わからないこと」を自分なりに理解した後に、他人に説明できるかどうかが、
おおきなポイント。本質的な意味を理解していないと、相手の側にたって、

伝えることはできませんね。

2006/10/22  exblog